トリノの土曜日は市場、というのが決まりらしい。しかも蚤の市もあると聞いて大喜びしたワタシ、ホテルのフロントで市場の場所を聞く。
「Porta Palazzo、ここですよ」と地図を指して教えてくれるお姉さん。
「蚤の市もあるって聞いたんですけど、それはどこなんですか?」
「同じ場所ですよ」
地図で見た限り巨大な広場には見えなかったので、いつもリヨンで通ってる市場の感じプラスちょっとしたジャンクを売ってるブロカントだろうな~位の気持ちで行ってみたら、これがまぁアナタ。
市場は広場の中にきっちり収まってなくて、なんだかまるで広場の中心から始まって、外、つまり周辺の道沿いや近くにあるもっと小さい広場へ向かってにじみ出るようにお店がぶわぶわぶわっと広がっている。そいでもってすごい賑わい。ひええええ。
一番多いのはやはり野菜と果物のお店だったが
(この記事に写真をアップしてます)、うろうろしていたら中から蛍光灯の紫色の灯りをぎらぎら放っている建物があって、入ってみたらお肉のお店がずらりと並んでいた。そこを出てまた野菜と果物の中を歩いていたら別の建物があって、中には魚介類のお店がこれまたずらずらっと。
さらに歩いていると今度は、洋服・バッグ・ベルト・サングラス等々のお店がずらずらずらずら...。オットが冗談で「服はあるけど靴がないね。ヨーロッパのイケメン兄ちゃん風のスニーカーが欲しいんだけど」と言っていたら、タイミングよく洋服のお店の波が途切れて靴のお店がこれまたずらずら~。さらに進むとキッチン用品のお店、それに混じって家庭内小物やおもちゃの店なんかがずらずら~。
行けども行けども市場に終わりがないのである。後で調べたら
トリノの土曜市はヨーロッパでも一番か二番かという規模のものだそうで、それ読んで納得した大きさなのであった。肉と魚以外は全部「青空」。肉、魚、野菜、服飾・家庭用品と「売り場」が分かれているので、市場全部を回らなくても、欲しいものがある「売り場」に行って用事を済ませてさっさと帰宅することができる。もちろん全部ぐるぐる回ることもできる。イタリア風青空デパートとでも言おうか、そりゃもう実に楽しい、楽しい場所なんである。
で、その大きさと活気に圧倒されて蚤の市のことをすっかり忘れて歩いていたワタシであったが、市場から住宅街に向かう道に入ろうとしたら、あったのですよ、ガラクタ市。
うほうほ。
こちらも「青空」。コミックが大好きなムスコ、古本を売ってる店の前で固まって動かなくなってしまった。
お店のおじさんが親切に説明してくれる。
Texというポピュラーなウェスタンコミックらしい。コンディションはいいのに一冊たったの1€で、イタリア語のビンテージのコミック本買う機会なんてもうないだろうと思ったので、ムスコに三冊買ってやった。フレンドリーなおじさんがにこにこ笑顔でくれたおまけは、これまたビンテージのミニカー。いくつかある中からムスコが選んだのは、レースカー。
ブレブレぼけぼけのこの写真、とても優しかった(ムスコが立ち読みしてても嫌な顔しなかった)あのおじさんに捧げます。いや捧げられても困るだろうけど。
ところで。オットの職場にはイタリアの人が沢山いるのだが、「トリノに行った。感じのいい街でとても楽しかった」と言うとみんなびっくりするのだそうだ。どうも国内的にはあまりよいイメージがないらしい。「もうちょっと足を伸ばしてミラノまで行けばよかったのに」とか、「トリノが本当のイタリアだと思ったらだめですよ」とか言われるそうだ。
じゃあ早く「本当のイタリア」を見に行かなくちゃね、と言うとオットは勘弁してくれというような顔をした。