蚤の市大好きではあるけれど、人物写真だけは買うまいと思っていた。
昔のポートレートに写っている人達は大抵なんとなく怖い顔をしているし(緊張した表情なんだと思うけど)、子供がひとりで写ってるものとか結婚写真なんかは、プライベートでしかも大切なもののはずなのに蚤の市なんかに出される運命になってしまって、なんだか可哀想な気がしていた。それを外国人の私がお金と引き換えに自分のものにして国外へ持ち出すのは、もっと可哀想なことだと思っていた。
が。
昨日出かけた蚤の市で、またもや出会ってしまったのである。ラックにばさっと入っていた写真をぱらぱらめくっていて、はたと手が止まった。人物写真を買わないポリシーは…ともちろん迷ったのだが、ピピピン!と来ちゃったんだよねえ。
白衣やエプロンを身に着けた人達の集合写真。ピピピン!と来たのは、こういう記念写真には珍しく、写ってる人の表情やポーズが固まっていないからだと思う。向かって一番右側の少年なんか、リラックスしてるような印象さえ受ける。
写真の枠下に残されたキャプションは、
Ecole de Medicine Paris 1910Mr le Docteur André Castex (最初の単語、"Mr"に見えるのだけど、二番目の文字がすごーく小さくて、"r"なのかどうかはっきりしない)Lucien Wormser Phot 45 Rue du Cardinal-Lemoine
この住所はパリ五区、シテ島からそんなに離れていない場所にある。メトロの、その名もCardinal Lemoine駅のすぐ近く。
10€で手に入れた、ちょうど百年前のフランスの歴史のひとかけら。
大切にしよう。
10 comments:
ほんとだ、なんだかみなさんリラックスしてちょっと楽しそうに見えますね。
ん~、いい写真です。
■tomさん、
一緒に行った知人には「よその人の写真買って何がうれしいの」と言われました(爆)。
André Castex先生、とっても有名な耳鼻科医のさきがけだったようですよ。
著作もいろいろあるみたい。
■ガブさん、
当たり~!Ecole de Medicine Paris 1910の後に、Oto-Rhino-Laryngologieって書いてありました!
この、ひとりだけ他の人より年配の方がAndré Castex先生でしょうかね。
その駅、私が約8カ月通った語学学校の最寄駅です。昨日も行ってきました!
人に説明できないけど、なぜか「びびびっ」って来る時、ありますよね。
その感覚、とっても大切だと思います。
不思議なんですけどね、その感覚。
でもすっごくわかりますよ!!
■rieさん、
もしまたすぐに近くをお通りになる機会があったら、この住所に写真屋さんがあるかどうかチェックしていただけます?(笑)だってほら、パリだから、長~く続いたお店が存在する可能性あるかと思うんです。
あったら、この写真を持っていったら色々話を聞けるかなあと思って、iPhoneに写真撮ってあるんですよ~。
東寺や天満宮の市でもふるーいアルバム見つけたりして、つい見ちゃうんです。私も、なんで人の写真買ってっておもっちゃうタイプですが(笑)、ぴぴぴっとくる写真に出会えるかもしれないですね~。地道に探そうっと。
■ナオコさん、
随分前の話ですが、祖父が亡くなった後色々整理していたら、机の引き出しから古ーい(多分明治時代の)写真が三枚出てきたんですよ。ぼろだから捨てるって言うので、あわてて引き取りました(笑)。じいちゃんばあちゃんの蔵を探すっていう手もありますね(笑)。
今日ですね。E君のお誕生日。
オメデトウごさいます。
cocopuffさんに乾杯です!
飲みすぎないように*ふふふ・・・
■vicoloさん、
ありがとうございます。
当日は最近市内にオープンした「居酒屋」にお昼を食べに行きました。食事はまあごく普通に美味しかったですが、お酒のメニューが豊富でうはうは。美少年、というのを熱燗で二本いただきました(笑)。
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