この春プロヴァンスに旅行したとき、ジャンク市でティーセットを買った。
カップ&ソーサー六客とシュガーポット、そしてクリーマーのセット。周りに置かれていたジャンクの山の中でこれだけまさしく「掃き溜めに鶴」のごとく光を放っていて、引き寄せられるようにそばに行って、手にとって見た。そんなに古くはない。
不思議なシンボルに妙に惹かれる。作りも色も上品だなあと思いながら裏返してみたら、Arklow RC Bone China with Noritake Ireland Limited Editionと書かれている。ノリタケだったのね。どうりで上品なわけだ。
この時点でもうすごく欲しくなっていたので恐る恐る値段を見たら、40€と書かれていたのを消してあって35€という、嘘のような値段。全部セットでの値段ですよ。ひとつひとつひっくり返してチェックしたけれど、傷や欠けた部分は全くなし。ごみの山のなかから宝石でも見つけたような気分。
というわけでリヨンまで大事に持って帰ってきて、この気になるシンボルをさっそくリサーチしたのだが、まるでお手上げ。Arklowというのはダブリンから南50キロほどにある街で、伝統的な陶器で有名だったけれどノリタケに買収されて、Arklowの工場は現在では存在しない(こちら参照)。「Arklow」だけを検索するとオークションサイトや商品補充サービスのサイトに沢山当たるので、もう生産はされていないがコレクタブルとして人気があるらしい。
…というところまでは分かったのだが、例のシンボルに関しては全く手がかりなし。売りに出されているArklowのティーセットも色々チェックしたが、このデザインのものはちょっと見た限り見当たらなかった。
残念。そのうち、オットの同僚のアイルランド出身の人に聞いてみよう…と思っていた。
そしたらね。
今回の旅行中、ダブリン近郊の小さな町のジャンク市場で、見つけたのだよ、ほぼ同じ形で全く同じシンボルが描かれているカップ&ソーサーのセットを。引っくり返してみたらやっぱりArklowだった。胸が高鳴る。
お店の人に、シンボルのことを聞いてみた。この女性、訛りがものすごく強くて言ってることがほとんど理解できなかった(同じ英語だけどね。向こうにしてみればワタシの訛りがものすごく強いわけなのだ)が、このシンボルが「Taraなんとか」と呼ばれていることだけ分かった。狂喜乱舞とまでは言わないが、そこまで分かればあとはインターネット。
「Tara Ireland」で検索したら、いっぺんに引っかかった。わ~いわ~い。
簡単に言うとこういうデザインのブローチであるということ。本物はダブリンにあるアイルランド国立博物館に展示されているらしい。七~八世紀のものだそうだ。へえ~~~~~~。
なんだか宝物を二度発見したような気分で、とてもうれしい旅行の「おまけ」だった。
6 comments:
遅ればせながら、おかえりなさい。
いいな、いいな、アイルランド。
でもって、こういう類いの探偵調査、わたしも大好きです。
すっごくはりきっちゃいますよね。
今手にしている何かが古い時代の何かとつながっていたり、遠い場所の何かに由来していたり、そういうのほんとにわくわくしちゃう。
それがアンティークの良いところですね。
あ、またまた遅ればせながら、結婚記念日もおめでとうございました^^
■tomilyさん、
こんな風に一見関連なさそうな出来事(南仏旅行とアイルランド旅行)が繋がっちゃったりすると、「運命だったのか~!」とか思って興奮します(笑)。
そちらの天気はどうですか?フランスはすっかり夏も終わりみたいで寂しい気候です。
こんにちは。
不思議な謎解きを読むような感じで楽しませてもらいました。
我が地元のノリタケがそんな所にまで行き渡っているとは・・・。
■y_and_r_dさん、
ノリタケ、アイルランドまで手を伸ばしてました(笑)。
買収された後ここでの生産がストップされてしまったという所がちょっとひっかるんですが...。
ちなみに今回見かけたティーセットは、ワタシが持っているノリタケコラボのものよりも少し粗い感じがしたというか(素材じゃなくてフォルムが)、洗練度が低いという感じがしました。
色々ですね。
すごいー。
製作された地元で偶然同じものが売られていたとは!
さすがに地元で売っている人は由来を知っていたのですね。
しかし、お値段、安かったですね。
プレゼントでもらったか何かで安く出していたのでしょうか。
持つべき人のところに来たという感じですね!
■ねむりぐまさん、
信じられないような値段ですよね~。一客で35€って言われてもびっくりしなかったと思います。
フランスではノリタケって知名度低いんでしょうか?
Post a Comment