今週の火曜~金曜と三泊で、ムスコが学校のスキー旅行に出かけていた。
学校からは一週間ほど前に「どこそこリゾートのなんとかロッジに泊まります」という連絡があっただけで、そこの住所とか電話番号のお知らせはなし。
一瞬「行き先もはっきり分んないまま泊まりでムスコを送り出すの???」と思ったのだけれど、ちょっと冷静に考えたら大騒ぎすることではなかった。宿泊先は教えてくれたので電話番号等は自分で調べれば分ることなんだし、緊急事態でない限り知る必要もないわけだし、それに実際緊急であれば向こうから連絡が来る。第一夜電話して子供に繋いでもらって「元気でやってる?ちゃんとご飯食べた?歯磨きしてから寝るのよ」なーんて話すこともないわけで、よく考えたら連絡先を事前に知っておく必要はないのである。
最近の日本の環境がどういうものなのかは知らないが、このあたり、過保護のアメリカとは随分違うなあと思った。アメリカだったら細かい情報も全部保護者に配布されると思う。結局ムスコの行き先は調べることもなく、向こうから電話もかかってこないので「じゃあきっと元気で楽しんでるのね」と考えることにしておしまい。なんだかアンタも成長しろよと言われているような気がした ←ムスコ九歳、まだ子離れできていない。
さて。ムスコが丸々四日間いないなんて滅多にないことだし、ふたりでどこかに行こうよとオットに提案したのはワタシ。車でちょこっと近場へと思ったのだけれど、オットがヴェネツィアに誘ってくれた。破格運賃のイージージェットで、リヨンから直行航空チケットの往復ふたり分がなんとたったの90€。これ、ふたり分ですよ。電車でパリへ行くのより安いのですよっ。
↑イタリアの国旗の色だ。
そんなわけで行ってきました、二泊三日のヴェネツィア。なんだ前回の記事であんなこと言っといて自分だって沢山旅行してるじゃん、とお思いでしょうが、実は旅行はそんなに好きではないのです。
まず荷物つめが嫌い(荷物ほどきはもっと嫌い)。あと、飛行機が嫌い。というか、酔うので乗り物一般全部苦手なんだけれども、飛行機は乗ってる間だけじゃなくて乗るまでの行程も大変なので特に嫌い。
カウンターで並んで待って、セキュリティでさらに並んで待って、靴脱がされて荷物開けられてぐちゃぐちゃにされて、時には体も触られて…というあれ全部が大嫌い。
今回は手荷物だけで行ったのだけれど、女の人の旅行荷物には化粧品とかヘアケア用品とか、なんだかんだ液体物が多いじゃないですか。機内持ち込み荷物に入れてもいいのは合計100ccまで。きっちり計ってつめたわけじゃなかったけれど、一応自分では化粧水・クレンジング・ヘア用品等々の組み合わせと必要量をちゃんと考えて入れたつもりだった。しかし。リヨンのセキュリティですごーく細かく全部チェックされて、オーバーしてると言われ、ヘアジェルを容器ごと捨てていくはめに。このトラベル容器、買ったばかりだったのに(涙)。次回はスポイト使って計って入れるか?
あと、セキュリティで荷物開けてもいいですかと聞かれて断る人はいないと思うけど、一応我々の荷物なんだから形だけでも開ける了解を得て欲しいと思うのはワタシだけだろうか?何も言わずにぐわしと開けられて、たたんである衣服の中に手を突っ込んでバニティバッグを取り出され、その中をごそごそ探られていや~な感じがするというのは、ちょっと敏感すぎるだろうか?
とまあ出だしはよくなかったのだけれど、飛行時間はたったの一時間ちょっと。着いたら一安心で、空港から市内までの水上バスで酔うこともなく(片道所要一時間って言うからちょっと心配だった)、総計44時間しかいなかったにもかかわらず、楽しい時間を過ごすことができた。
しかし、二泊じゃいくらなんでも足りなかった。あまりにも観る所が多すぎる。ぶらぶら歩いていたら絶対間違いなく迷子になる街なので、その時間ロスも計算に入れないといけない。←方向感覚抜群のオットが三度迷子になった。致命的に方向音痴のワタシは独りでは絶対に歩けない街だと思う。
↑傾いてる…(笑)。
三日目の朝、ああこの街は本当に静かでいいな~と思いながらぶらぶら歩いていて、はっと、「あ、そうか。車がないから静かなんだ」と気付く。気付くのが遅すぎるというのは置いとくとして(いいのか、置いといて?)、周りに車がないと、音だけではなくて空気が静かになることを発見した。
市内の交通手段は足かボート。徒歩交通とボートは同じ表面には存在しないから、歩いて散策していると周りは同じく歩行者のみ。運河を渡る橋はすべて下をボートが通れるようにアーチ型になっていてしかも階段だから、自転車も役に立たない(駐輪してるのは何台か見かけたけれど、乗ってる人はひとりも見なかった)。ベビーカーを押しているお母さんは結構いたが、橋を渡るたびに大変だろうと思う。荷物の配達は、できるだけ近くまで運河のボートで運んで、そこからは台車でおっちらと。
車がないから信号もない。唯一注意しないといけないのは配達の台車だけ。運河を行き来するボートのエンジンの音はあるけれど、ボートの交通量が多いのは昼間のカナル・グランデだけだし、離れた場所にいれば聞こえない。静かでゆったりした感じがするのも当然なのだった。
↑角を曲がるたんびにこんな感じ。角曲がる回数も多いし、そりゃあ迷子にもなりますって。
そして海の街!ということで、ずっと避けていた貝と海老を食べることができて幸せであった。今までのフランスでの食中毒の原因はほとんど貝か海老だし、ミラノで食中毒にあったときも問題は海老だったので、スーパーで日付を確かめて買って自分で料理する以外に貝と海老はまったく口にしていなかったのだ。それでも「どうか当たりませんように…」と祈りながら食べていたワタシ(オットも絶対同様だったはず)、トラウマの影をひきずっているなあと自分でも思う。
おいしくて美しいヴェネツィア。ここもまた行きたい場所のひとつになったけれど、そんな機会ないだろうなあ…。