三年間住んだアパートは
ローヌ川沿いに建っていて、川向こうに
クロワ・ルスの丘が望める場所にあった。
窓のすぐ下は公園で、近所の保育園や幼稚園の園児が休み時間に遊具を使いにやってくる。一日二回、決まった時間に、楽しそうに遊ぶ子供たちの歓声が聞こえてきた。夕方からは煙草とビール片手におじさんたちがペタンク。夏は夜通しワイルドに遊ぶ若者や野外コンサートでにぎやかな場所でもあった。
交通量の激しい市街地のど真ん中に住んでいながら、窒息しそうな思いをしたことがないのは、この窓からの眺めのおかげである。
このアパートでの最後の朝にこの窓から見たのは、二日間続いた真夏日のねっとりとした暑さを洗い流すような、雨と風と雷だった。
この次住む家の窓からは、どんな風景が見えるのだろう。
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